「ひよこ、見て見てこの子超綺麗!!」
実里が叫んだ。
りんごあめに夢中になっていた私はてっきりアイドルみたいに可愛い女子高生かと思い、特に期待せず実里の声の先を見た。
そこには『JS高等学校☆今年のMr.JS』というタイトルの貼紙があった。
「っ…ほんとだ、綺麗な子。」
その貼紙の写真、つまり今年のMr.JSの写真の男の子。
「こんな子が共学にいたら王子様決定だよね。」
「確かに…。」
いわゆるストリート雑誌のスナップに乗る今時の男の子とはどこか違う、歌舞伎や大衆演劇で女型をする俳優の様に、シャープな顔。
それでいて口元はふっくらとしていて口角が上がっている。
瞳は大きいのに切れ長な目を守る銀縁の眼鏡もなんだかポイントが高い。
「『秋月 怜司(あきづき れいじ)』だって、珍しい苗字ね〜。」
「実里、関心する所、違くない?」
「あ、2年B組!陸と同じクラスだ。」
「…ふーん。」
「よし、いくぞ、ひよこ。」
「へぅ?」
「陸のクラスの出会い系カフェ!いるかもしんないじゃん♪♪」