『何?!その髪?!全っ然、似合わねぇーな。』
不意に聖人の一言が沈黙を破ったー。
その言葉は、さっきまで鼓動がMAXにまで達していた、あたしの心臓の深い所に容赦なく突き刺さったー。
『色もカタチも全てNG。全く‥どういうセンスしてるんだか。』
グサグサ―――。
酷‥‥い‥‥‥。
『大体、奈央の髪の長さと髪質に、そんなルーズな動き付けたら、どう見ても寝癖にしか見えないゼ?!』
グサグサグサグサ――――――。
いくら似合ってなくたって‥‥‥そこまで言うことないじゃん‥‥‥。
『聖人。その言い方は、ちょっと酷くない?!
奈央ちゃんがどんな思いで今、この教室で聖人のコトを待っていたと思ってるの?!
イメチェンして、可愛くなった姿を、聖人に早く見せたくて、ドキドキしながら待ってたんじゃない。
そんな女の子の気持ち、分かってるの?!
仮に似合ってないと思ってたって、そんな言い方はないじゃんよ!!』
ミズホさんは、あたしの言いたい事を全て代弁してくれたー。
あたしはー
こんなにまで聖人に“似合わない”って言われるとは思っていなかったからー
かなりショックでー
あまりにもショックが大き過ぎてー
なんだかー
返す言葉も思い付かずー
あたしの目の前に立つ聖人の目を、逸らす事さえ出来ずにー
ただ、その場に立ち尽くす事で精一杯だったー。
『似合わねぇから似合わねぇって言って何が悪いんだよ?!』
もういいよ‥‥。
やめてよ聖人ー。
何かー
自分が凄く惨めに思えてくるー。
『あ‥はは‥‥。そ‥‥だよね?!
じ、実はさぁ、あ‥あたしも全然似合ってないなとは思ってたんだよね、うん。
ミズホさん、ごめんなさい。
あたし、せっかくミズホさんにカラーリングしてもらったり、
メイクの仕方、教えてもらったりしたのに‥‥。
聖人に、全然似合ってないって言われちゃっ‥‥た。』
‥‥声が少し上擦ってたかも‥‥‥。
やば‥‥泣きそう‥‥‥‥。