『奈央ちゃん?!』
ミズホさんが心配そうにあたしの方を見たけどー
『ごめんなさい、ミズホさん。あたし、もう1-3の教室に戻ります。』
あたしは、そう言い終わらないうちに、
聖人に背を向けー
3-5の教室を飛び出していたー。
『待って!!奈央ちゃん!!』
背後からー
ミズホさんの声が聞こえたけどー
あたしは振り返らず廊下を走り続けたー。
ばかばかばか!!
聖人のばか!!人の気も知らないで!!もう知らないっ!!
廊下を走っている途中でー
懸命に走っているあたしの背後から、
やけに大きい足音が段々近づいて来るのに気付いたー。
『こらっっ!!ちょっと待てって!!』
えっっー?!
あたしは、その声に立ち止まりー
くるっと振り返ったー。
『‥俺‥‥朝飯食ってねぇから、朝からの全力疾走は‥かなりキツイぜ?!』
やっぱり、その声は聖人だったー。
あたしを追っかけて来てくれたのー?!
『聖人‥‥。どうして?!』
何が何だか訳分かんないよー。
『‥‥顔‥‥‥もっとよく見せて‥‥‥。』
聖人は、まだ誰も歩いて居ない廊下の片隅に、あたしを引き寄せたー。
誰も居ない廊下は、しーんと静まり返っていたー。
『素のままの奈央がいい‥‥‥。』
ギュッ―――――。
聖人は、あたしを強く抱き締めてくれた―。
聖人の広くて大きい肩幅に―\r
ギュッってされると、
とても安心するんだ―。