狂人 ?

マリリン  2008-04-06投稿
閲覧数[440] 良い投票[0] 悪い投票[0]

彼が、重い口を、やっと開いたのは、街角にクリスマスソングが、楽しげに流れ始めていた頃だった。

「僕は、この世の中のことが、何もかも分からないことだらけなんだ。 何もかも信じられないし、君のことも、いや、自分自身さえも信じられない…」 彼は、いかにも苦しそうに、呻くように呟いた。

「どうして、自分自身さえも信じられないの?」彼女は、心の動揺を隠しきれず、しどろもどろになって、こう尋ねた。

「君にも、打ち明けたことがあるけど、以前、僕は、自殺未遂をしている。
考えてもみてくれ。自分が、自分を殺すんだ。 こんな信用できないことはないだろう? 自分自身の安心できるものなんて、 この世に何も存在しないんだ」
彼の訴えは、いかにも悲痛だった。

「それに、僕は、自分が、何をしたいのかも、分からない。いや、 なんにも、したくないのかもしれない…」 彼女は、彼を慰める言葉を探したが、薄っぺらいものでは、とうてい彼を納得させられない重いものを、彼の態度から感じずにはいられなかった。


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 マリリン 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]
〇beauty hand〇
海外セレブに人気


▲ページトップ