「ロイは一向に魔法が上達しないから、私達の所に来たのよ。それに嘘は無いと思うわよ」
「私もそう思うわ、ロザラム」
エミリアも首を縦に振って、ロザラムに反論した。
「…そうなのか。これほどの力を持ちながら、それが使えないというのはおかしな話だが、ミリスやエミリアが言うのであれば間違い無かろう」
ロザラムは鋭い眼差しを解くと、すまなそうな顔をして、
「疑ったりして、悪かったね。ロイ君」
と、謝った。
「いえ…、いいんですけど、僕ってそんなに力があるんですか?父さんからは何も聞かされてないんで、ちょっと驚いてるんですけど…」
「そうなのかい?まあ、僕が感じた事だから、あまり気にしなくてもいいよ。それに、例えそんな力があっても、この平和な世界では宝の持ち腐れになってしまうだろうからね」
「そうですね」
ロイは頷くと、ゆっくりと起き上がって一つ大きく息を吐いた。
「大丈夫、ロイ?」
ミリスがその様子を見て心配そうに声を掛けた。
「何とか。まだ多少身体はだるいけど…」
「無理しなくていいわよ。ゆっくりしてなさい」
「おっと、こっちはこんなにもゆっくり出来ないんだった!」
そう言って、ロザラムは慌てて馬に飛び乗った。