「お前…ろれつがおかしいぞ」ユータは油断なく剣を構える。
「ご、ごごご…まだ上手くシンクロできてないみたいだね」
緑髪の少年は髪をかきあげる。
「……」ユータは剣を抜き放ち、剣の切っ先で石を弾き飛ばす。
「ふふふっ」ひらりと身をかわすと、右手を後ろに引き、左手を突き出す変な構えをとる。
「殺しはしないさ…汚れた血が必要だからね…」
「その……その名で俺を呼ぶな???」ユータは猛然と切り掛かって行った。
間合いを取ると牽制の突きが少年の体を貫いたように見えた…が…体がぐにゃぐにゃとねじまがり、姿が消えた。
「なっ…」ア然とするユータ。頭上から迫る気配。
とっさに後ろに飛びのく。ズカァーン。さっきまでユータのいた場所が粉みじんに粉砕されて、土埃をあげていた。
「ふふふ…びっくりした?残像だよ…残像…」言うが早いか、少年はユータに迫る。横一文字に振った剣をしゃがんでかわすと、素早い蹴りで、剣を弾き飛ばした。カランと音をたてて地に落ちる。
続け様に回し蹴りが飛んでくる。
バキッ。とっさにだした左手の盾を粉みじんに砕かれながらも、ユータはかわした。
「ふふふ…いつまでもつかな?」