「私達、不幸だよね。」
香音ちゃんは呟いた。確かに・・・。私達は不幸だ。なんで、私達が不幸にならなきゃいけないのかが分からない。別に、ならなくてもいいものを・・・。誰が、そんな事を考えたのだろう?どっかの、総理大臣?とにかく、お偉い誰かさん?そんな事ない。総理大臣でも、お偉い誰かさんでもない。人間という生き物が作ったものが不幸だ。
―――――――――その後、私達は黙ったままだった。
病院を退院して2日目。結構、心配してくれていた。特に、関東さんなんかは精神的にはどうか?とか、お医者さんみたいになってて皆で笑った。喫茶10で働いてる時が一番楽しい。楽園だ。楽園・・・。そっか。今の私には楽園がある。心配ない。なんとか、生きて行ける場所がある。それだけで、2日前の不幸な話はなしになる。
「・・・大丈夫・・・?」
関本君は、口数が少ないが人間の本性だけはちゃんとある。こういっちゃ悪いけど。まぁ、心配してくれてる事には代わりない。
「ありがとう。」
お礼は言わないと。
「羽音さん、関本君、香音さん、ちょっといいですか?」
関東さんが、険しい顔をして私達を呼んだ。
「「「はい。」」」
なんとなく、嫌な予感がした。私達の・・・なにかが無くなるような・・・。
「今はまだ、誰にも公開していない。ただ、喫茶の店員には言っておこうと思ってね。明日、この
喫茶10が潰されるんだっ・・・。」
私達は止まった。聞こえなかった事にしてもいい台詞が耳から離れない。
―――――――――アシタ、コノキッサ10ガツブレルンダッ・・・。