菜種梅雨で散る桜 まるで私の心模様 川に浮かぶ花筏津はどこに流れ着くのかしら
あなたは傘を差して桜の木の下を行く 僕をスルリとすり抜けて
行かないで…
呼び止める声は喉の奥に詰まって言葉にならない
前だけを見て歩くあなたはとても大人に見えた
春が立ちすくむ僕の前を何度過ぎても 僕は変わらずここにいて、ただ眺めているだけ 私にはもうそれしかできません
命が戻るなら、僕はもう一度あなたに語りかけるでしょう そして悲しませはしないのに
僕の命はこの桜に託し、あなたにずっと語りかける 声にならない声は花びらに託しましょう
あなたが他の誰かと出会い子どもが出来て、この桜並木を通ったら おめでとうの言葉を花びらに託し祝いましょう
あなたが幸せになりますように
今の僕にできるのはそれだけしかないことを許してほしい
ただ、今もあなたを本当に愛しているよ
君との約束を守れずに死んだ僕を許して…
僕の涙を乾かすようにそっと風が吹いた