ズキン…。
「…ごめん、私…記憶がないからあなたの事とか分からないの。」
その男子はポカーンとしていた。
当たり前だよね。
そんな事急に言われたって信じるわけないし…。
「そう…なの?んじゃあ僕が色々手伝ってあげるから!安心して?」
…嘘!
本気で言ってるの!?
どこまで優しいんだろう、この人は…。
また…涙がでてきた。
「ま、また泣くの?泣き止んでよ〜。」
「ヒック…嬉しくて…。これからっよろしくお願いしますぅ。」
「クスッ…なんか変な感じ。あ、僕の名前は斗沢省吾です。呼び捨てでいいよ?
…んじゃあ、そろそろ戻ろうか。楠先生に怒られちゃう。」
あ〜…もっと景色見たかったなぁ…。
でもこれから覚える事がたくさんある。
そんな事言ってる場合じゃない。
とても名残惜しかったが、屋上を後にして教室へ戻った。