行く途中に薫はこう言った。
「歩。」
「なんだ。」
「何があっても逃げ出すなよ。」
薫が歩にそう言った。
「?」
歩はわけがわからなかった。
あるマンションの一室の前でとまった。
「ここなのか?」
「ああ。」
ピンポーン
インターフォンを薫がならした。
「はい。」
「薫だ。」
ガチャ
あいたと同時に鉄拳がとんできた。
ドカッ!
薫はそれをよけたが後ろにいた涼にあたった。
「遅い!10分の遅刻。」
「すまない。」
中から出てきたのはショートヘアーの綺麗な女性だった。
「まったく・・・あれこの子誰?」
その女性は歩を見て言った。
「こいつは俺の隠し子だ。」
ドカッ!
また鉄拳がとんできたがまたよけてまた涼にあたった。
「冗談だ。」
「そんなのいうんじゃないわよ!」
「死ぬー!」
涼は落ちかけていた。
「ここは三階だ。お前なら死なない。」
「いいから、助けてくれー!」
「薫、一応お前が巻き込んだのだから助けてやれ。」
歩もそう言った。
「それもそうだな。」
薫は涼を引っ張りあげた。「で、この子誰?」
また女性は薫に言った。
「報告といっしょにするから中に入れてくれ。」
「わかったわ。」