『奈央。先にあの公園に行ってて。俺も後から行くからよ。』
あの公園とは―\r
いつもあたしが放課後、スケッチブックを持って絵を書いてた場所―\r
二人で教室から飛び出して、ベンチに座り、告白された場所―\r
そして―\r
初めてキスをした場所―\r
『うん。分かった。でも、何であたしが先に行くの?!
聖人と一緒じゃ駄目なの?!』
『“木下が登校中、急に具合が悪くなったので帰りました”って、センコーに適当なコト言っとくからよ。
オマエは、その茶髪でセンコーんトコ行けねぇだろ?!』
さすが聖人―\r
そういった工作は、随分と慣れているらしい―\r
『うん。渋川それで信じてくれるかな。』
『んもぅ、ゴチャゴチャ言わなくていいの!!
拾い食いして腹痛でも起こしたって言っておくからよ!!
早く行けって!!
“公園”だぞ?!分かったな?!』
『ひどぉ〜い!!あたし拾い食いなんてしないもん!!』
『あ‥わりぃ。ソレ、昔飼ってた俺ん家の犬だった。』
『‥‥‥‥。』
聖人ってば、こういう所は強引ー
えへ‥。でもちょっと嬉しかったりして‥‥‥。
『じゃあ、あたし先に行ってるね。』
『おぅ。』
そんな訳でー
あたしは聖人より、ひと足先に学校を出たー
ミズホさんには悪いコトしたなー
明日“黒くなった髪”で謝りに行かなくちゃー。