怪我人の治療を終え、ロイの調子が戻ってから、五人は道場へと帰ってきた。
「家は何とも無かったみたいだけど、親御さんも心配してるだろうから、二人はもう帰りなさい」
というミリスの言葉に二人は同意して、それぞれ自宅へ帰って行った。
「今日は何か疲れちゃったわね…」
ミリスはリリーとルイスがいる時まで見せていた、元気そうな表情を崩して、キッチンにある椅子に腰を下ろした。
「僕も疲れたよ」
ロイは一つ大きく息を吐いて、テーブルに突っ伏した。
「今日は二人共早く寝なさいね」
エミリアはその様子を見ながら、微笑んで、母親のような言葉を二人に掛けた。「あ…そういえばさあ、さっきのロザラムさん…、二人の幼なじみみたいな人なの?」
「!」
二人は一瞬、びくりと肩を震わせて、怖い顔でロイを見た。
「ロイ、お願いだから、父さんには彼の事は黙ってて!」
「は…え、ど、どうして?あんなに仲良さそうなのに…」
ロイは驚いて、尋ねた。
「いいの!絶対に黙っててね!」
「…はい…」
エミリアとミリスの剣幕に、ロイは納得がいかないながらも、了承せざるを得なかった。
「昔…色々とあったのよ…」
エミリアは寂しそうにぽつりと呟いた。