「昔…?それってどういう…」
「ただいまー!」
ロイがその言葉の意味を尋ねようとした時、玄関からセイルの元気な声が聞こえてきた。
「あ、おかえりなさい!」エミリアは慌てて玄関までセイルを出迎えに行った。「ごめんね、ロイ。訳は話せないけど、とにかく今はこの事を父さんには黙ってて欲しいの」
ミリスは幾分落ち着いた様子で、すまなそうにロイに頼んだ。
「分かった。理由は話せるようになったらでいいよ。秘密は誰にでもあるからね」
ロイはにっこりと微笑んで、頷いた。
「ありがとう。…リリーやルイスにもこのことを言っておかなくちゃね…」
ミリスはテーブルに肘をついて、一つ小さくため息をついた。
「ただいま、ミリス、ロイ君。今日は大変だったようだね?」
「おかえり父さん。そうなのよ。どっかのソードメーカーが悪さをしたせいで、町の人たちに責められたりして、大変だったんだから」
「まあ、ソードメーカーと普通の一般市民とは微妙な関係で成り立ってるからなあ…」
セイルは苦笑いを浮かべながら、買ってきた夕飯の材料をテーブルに置いて、どかっと椅子に腰を下ろした。
「だがそれでも、我々ソードメーカーは耐えなければならん。辛い事だがね」