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『未來、あんた‥どうしたの?!そんな煤けた顔して。早く風呂入んな。』
僕は決して母親似ではない。
このヒト、俗に言う典型的な肝っ玉母さん。
何でこんな気丈な母から、僕の様な気弱な人間が生まれて来たのか―\r
それは未だに僕にとって不可解な所である。
『ちょっと未來。待ってくれよ。先に父さん入るから。もう3日も風呂に入ってないから、体中が痒いよ。』
おいおい、やめてくれよ!!汚いって!!
けれど僕は正しく、この父親にそっくりだ。
父を見ていると、まるで自分を見ている様で、愉快で、滑稽でもある半面、なんだか空しくもある。
あぁ、でも僕は確実にこのヒト達2人の遺伝子を受け継いでいる訳だ。
『分かった。僕は後でいいよ。先に飯食うからさ。』
このヒト達にとって一人息子である僕だけど、小さい頃から甘やかされた記憶は殆ど無い―\r
―かと言って厳しく叱られた記憶も無い。
そういう意味では父も母も、子育てには無頓着であり、
結構、僕は適当に育てられた部類の人種に入るだろう。
そんな、適当に扱われた部分が、今の僕の適当な人生に反映されているのかもなって、
夕飯のおかずの、僕の大好物のハンバーグにかぶりつきながら考えていた。