「――!」 アクセルは息を飲んだ。スカイを掴んだままじゃコイツらの攻撃は避けられない。どうすれば… 「ばぁか。逃げりゃあいいだろ。」「え?」 スカイの声が聞こえた。その瞬間、体が何かに押される。その押した物をよくよく見てみると、それは―… 「スカイ…?」 スカイがアクセルに手を伸ばすような形で倒れている。そこには、黒い奴らが今にも乗ってしまいそうで―… スカイが、何故か倒れながら笑っていた。その笑顔に、恐怖の色は無い。スカイの口が、微かに動いた。 「…お前はまだ、強くなれ。」 ―今、何て…?そんな事より、今、今は―…「スカイ…?」 その声と同時に、スカイが黒に押し潰された。アクセルが目を見開く。スカイの声は、聞こえない。どうしちゃったんだよ?スカイ―… 「スカイ!!!」アクセルが叫び、スカイがいるであろう黒い奴らの群れをかき分け出した。スカイを助けなければいけない。そうしないと…でも、かき分けても、かき分けても、スカイは見えて来ない。 ―まだ、強くなれ…あの時のスカイの声が聞こえた気がした。 やっと、地面が見える。けど、そこにスカイはおらず、代わりに―… 「時計…?」 アクセルは思わず声に出した。そこには、小さな小さな砂時計があった。銀色の砂が流れる。アクセルはその砂時計を掌で包んだ。スカイは…?その時、黒い奴らがアクセルに襲いかかった。アクセルが潰れる。「……!!」息が出来ない。暗い。苦しい… ―アクセル!! 「ユキ…?」 ユキの声が聞こえた瞬間、白い光が視界を包む。黒い奴らがかき消えて行く。…何?これは―… ここにはいないはずのユキが、見えた気がした。幻のユキの口が、微かに動く。―手を、繋いでいてね… アクセルの手元が光る。アクセルは自らの手を見つめた。少しすると、アクセルの手には黒い鍵のような物があった。周りの光が消え、元の薄暗い町並が見える。アクセルは自らの手にある鍵を見つめた。鍵のようだが、時計のねじにも見える。 「スカイ…?」 アクセルはゆっくりと立ち上がった。虚ろな目が鍵を見る。そこに、丁度あの黒い奴らが現れた。アクセルが鍵をとっさに構える。 「!!」 さっきと同じような動きで、奴らが襲いかかって来た。―何だろう?憎い―…