「仕事ですか。」
次の日、薫はめずらしく涼が仲介しない直接の依頼を聞いていた。
「そうです。内容は救出です。」
「いったい誰を、どこから助けるのですか。」
「娘をどこからか助けて下さい。」
真面目な顔で言った。
「それはもしかして誘拐とかじゃなくて、いなくなっただけですか?」
薫がおそるおそるきいた。
「そうです。」
(マジかよ。)
たまに、いなくなっただけでさらわれたとか言う親がいるが、この親はその典型な気がした。
普段は涼がそういう類は除外してくれている。
「写真を貸して下さい。」
親が出した写真を受け取ると薫は奥に入っていった。
「一時間ほどお待ち下さい。」
それだけ言って。
一時間後、薫は時間通りに出てきた。
「お引き受けします。三日後に来て下さい。」
「わかりました。」
そう言って依頼者は出ていった。