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あたしは、一足先に公園に着いた―\r
なんか久しぶりだなぁ‥‥。
そう感じたのは、最近ずっと来ていなかったからかな―\r
放課後に、この公園に一人で来て、
一人で絵を描いて、
一人で帰っていたあの日々が―\r
これから、とても懐かしい思い出に変わってゆく前に―\r
あたしは、この公園で、聖人と二人だけの思い出を、沢山作る事が出来た―\r
聖人にとっても、この公園は、
結構お気に入りらしい―\r
だって―\r
今もほら、この場所が待ち合わせ場所になってる―\r
『奈央。待たせてごめんな。さ、行くぞ!!』
振り返ると、そこに聖人が立っていた―\r
いつもの優しい笑顔で―\r
『うん。』
差し出された左手を―\r
思わず強く握りしめた―\r
聖人は、いつだって優しい―\r
いつだって、あたしのコト思ってくれてるんだ―\r
冷静になって、よく考えてみれば、
さっき、あたしの髪型を見た聖人が、“全然似合わない”って言ったのも、
きっと、ミズホさんが側に居たからなのかなと思った―。
聖人が、ミズホさんの前であたしの髪型のコトを酷く言ったら、
ミズホさんは、きっと聖人に怒りを覚え、あたしに同情してくれると思うから―\r
だから、ミズホさんに折角染めてもらった、この茶色の髪を聖人に黒く染め直してもらっても、
ミズホさんは決してあたしを責めたりはしないだろうって―\r
聖人は、そこまで先読みしていたんだね―\r
それとも―\r
それは、あたしの考えすぎ?!
ただの自意識過剰?!
――じゃないわよね‥‥‥。
だって―\r
廊下で聖人は、凄く優しく抱きしめてくれたもん‥‥。
なんか‥‥
それって、凄く嬉しい‥‥‥。
あたしは、これから初めて聖人の家へ行く‥‥‥‥。