失われた記憶

七瀬凪  2006-05-03投稿
閲覧数[342] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ねぇ…、いつになったら君は、僕の方を振り向いてくれる?

どうしたら、僕にもう一度笑いかけてくれる?

たとえ、君が僕を忘れてしまったとしても、僕は忘れない…。


幼い頃のトラウマで、水辺が苦手な僕は、雨で増水した川の中、流される君を助けることが出来なかった。
恐怖にかられ、足がすくみ、手を差しのべることも、助けを呼びにいくことも出来なかった。

どうして僕は、こんなにも無力なんだろう…。

君は、僕が川でおぼれた時、助けてくれたのに、僕は君を助けられなかった…。


小さな病院の個室のベッドで、君は今も意識を失ったまま目を覚まさない。

たとえ、目が覚めても後遺症が残るかもしれない。


それでも、僕は君が生きていてくれただけで、嬉しい。

毎日、彼女の手を握りしめながら、僕は祈った。

『今日こそ、彼女が目を覚ましますように…。』

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 七瀬凪 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ