ねぇ…、いつになったら君は、僕の方を振り向いてくれる?
どうしたら、僕にもう一度笑いかけてくれる?
たとえ、君が僕を忘れてしまったとしても、僕は忘れない…。
幼い頃のトラウマで、水辺が苦手な僕は、雨で増水した川の中、流される君を助けることが出来なかった。
恐怖にかられ、足がすくみ、手を差しのべることも、助けを呼びにいくことも出来なかった。
どうして僕は、こんなにも無力なんだろう…。
君は、僕が川でおぼれた時、助けてくれたのに、僕は君を助けられなかった…。
小さな病院の個室のベッドで、君は今も意識を失ったまま目を覚まさない。
たとえ、目が覚めても後遺症が残るかもしれない。
それでも、僕は君が生きていてくれただけで、嬉しい。
毎日、彼女の手を握りしめながら、僕は祈った。
『今日こそ、彼女が目を覚ましますように…。』