門から見て左の塀の上に人影が3つある……。
「またか…」
門の方に近い塀の上に座っている1人の老婆が呟いた。
「今度は女子供3人じゃな…」
老婆の左隣に座っている翁が老婆へ言った。
「まだ若いのにねぇ。政義…相変わらずあの門の閉まる音は凄いねぇ」
「そうじゃのう…聡子、あの門の音は何度聞いても嫌な音じゃな」
聡子と呼ばれた老婆は政義の妻だ。
「…不吉の音……」
「本当だねぇ。門が閉まるのは誰かが門の外に出たか出ようとしたかのどっちかだからね」
政義の左隣に座っている楓は門にいる兵士達を睨み付けながら言った。
「来たね、麻里…」