「探すって言ってもどうやって探すんだよ?」
洋介は男に向かって疑問を投げると同時に
「部長がいました!…あそこは…旧体育倉庫ですね。案内します!」
「あっ…おいっ!?」
そういって男は走り出した。
一見貧弱そうな見た目とは裏腹に早い動きで…
「ちょっと待て!俺達も行くから!」
慌てて洋介達も走り出して後を追いかける。
「とりあえず見つけてくれるのには礼をいうけどあんた何者なんだ?」
洋介は当然の疑問を投げかける。
「あっすみません。僕は徳山薫って言います。」
走りながらも自己紹介をする。
「徳山ね…んであんたの力ってのは」
「鬼の力やろ?確か千里眼言うたっけな」
「あっ…はい。僕の一族は鬼の末裔と言われてていろいろな力が行使出来たと言われてます。まぁ僕は落ちこぼれなんで千里眼くらいしか使えないんですが…」
「そないなことあらへんで?本来鬼の力言うたら怪力と強靭な躯が基本やからな。千里眼使える言うことは鬼の中でも珍しい頭脳派や」
「僕の家は皆体育会系なので…」
「その中では落ちこぼれってことか…そら難儀やなぁ」
「んでなんであんたは俺らを見てたんだ?」
「それは…僕は…見た目がこんなだからよくいじめられてたんです。」
(いじめられるような女子には見えんがのぅ)
「最近の人間は自分より弱者を虐げる奴が多いんだよ…イラつくけどな。あとこいつは男だ」
「う…やっぱり女っぽいのかな…。と…とにかくそんな僕に普通に接してくれたのは遠野さんだったんです。」
「なるほどね。それで俺らを見てたのか」
「はい…遠野さんは僕の憧れの人なんです。でも貴方のような素敵な方が一緒なら僕も諦めきれます。それに僕は遠野さんに恩返しをしたい。」
そういいながら薫は目を下に背けた。
(あそこのようじゃな。確かに妖気で空気が揺らいでおる。)
「それにめっちゃ臭うで〜いい加減ぶちのめしてやらへんとな!」
狐弦糸は凄く楽しそう名顔をしている。
「徳山。おまえはどうする?戦闘に向かないんなら残ってていいぞ」
洋介は入り口の前に立って息を整える。
「…僕も行きます。皆さんの足手まといにしかならないかもしれませんが、僕も此葉さんを助けたい」
「そっか…そうそう、薫。此葉はな…俺の叔母だ。」
「え…!?」
ガチャリ…洋介はドアノブに手をかけた。