「ぢゃ、アタシ秋月くん選んじゃお♪」
「ひよさんは?」
「えーっと、えーっと…。」
「早くしてよ。」
「いいや。実里待ってるよ。」
「んだよ〜。折角そんな格好してるのにもったいないよ〜?」
「アタシ行くよ?行くからね〜!!」
テンション高く実里はカーテンで仕切られた「3」と書かれた部屋へ消えた。
「姉貴な…。下手しなくてもウザい保護者にしか見えねーわ。」
「まぁいいんでない?それより、ここの高校、美術部あるよね?そこの展示見たいんだけど…。」
「あぁ、それなら地図で…ここだな。姉貴には伝えておくよ。」
「ありがと。」
「じゃあナンパに気をつけてな。」
「バーカ♪」
私は足早に美術部展示を目指した。
時間は昼時を過ぎていて、学生のテンションもいよいよ最高潮といった空気。そんな中、美術部の会場は3Fの1番端の教室で受付も見学者もない、絵と簡単な彫刻やオブジェだけがひっそり展示されていた。