両手に顔を埋めて泣いたあの日。
涙は温かく指の間を伝っていった。
空はそんな事お構いなしによく晴れてて。
鮮明な青は今も胸に焼き付いてる。
たくさん傷ついたね。たくさん傷つけてきたね。
何を思ってあの時泣いたの?痛かったの、悲しかったの?
今でもまだわからない。
だって私あの頃のまま。
両手に顔を埋めて泣いてる。
世界は優しかったでしょ?息を吸えて歌うことができて。これ以上何を望むの?
欲張りな私は、私だけの居場所が欲しかった。
誰にも代わることのできない、私だけのポスト。
誰かに必要とされる人間になりたかったんだ。
くすんだ影。くすんだ青。
いつしか雲が太陽を遮っていた。
闇に背中を撫でられて、ようやく気づいた。
――このままじゃいけない。
私、変わらなきゃ……。
失ってから気づくという言葉がある。
だけど、よく考えてみて。
私はまだ何も失っていない。
今ならまだやり直せるでしょ……!
光が差した。
雲はいつの間にか散っていて、直視できないほど眩しい光がそこにはあった。
……泣いてばかりじゃ、ダメなんだね。
居場所は誰かに与えられるものじゃない。分けてもらうものじゃない。
自分で作るものなんだ。
心を開いて笑える場所。
そこが私の、私だけの居場所。
やっとわかったよ……。
私は相変わらずここに立っているけど。
もう両手に顔を埋めてなんかいない。
涙の跡は、もうないね。
これから、なんだ。
すべては私の努力次第。
動き出した私の時間。
私、変われる気がする……!
そう、今なら。
私は意を決すると、最初の一歩を踏み出した――。