「これは気功術だよ。」
「気功術?」
「気でいろいろなことができるの。」
遥はこう説明した。
「わからんぞ。」
「つまり傷を治したりできるんだ。」
「ほう、なるほど。」
歩はやっと納得した。
「・・・なあ、遥。」
「なに?」
「私でも使えるよいになるか、気功術?」
「少しはできると思うけど、私みたいには無理ね。」
「どうして!?」
「特異体質だよ。」
代わって薫が答えた。
「特異体質?」
「つまり、遥は特別なんだ。歩がやってもこんなにはならない。」
「そうなのか・・・」
歩はがっかりしたように言った。
「じゃあ、帰らしてもらうよ。傷もふさがったし。」
「ちょっと待って。」
遥は歩に近づいて耳元で囁いた。
「私も薫を狙ってるから。」
「!!」
歩の表情が強張った。
「どうした?」
「役に立ちたいらな、もっと別のことにしたらって言ったの。」
「そうか。」
帰る途中、歩は遥が薫が好きだったことと、なにか自分にできることをずっと考えていた。