君と出会った港のバー
君を見つけるまでは
何の変哲もない場所だった僕は仕事帰りに立ち寄る
馴染みの場所に過ぎない
ただのバー!
君を知るまでは
好きなJazzを聞いて
決まったバーボンを飲む
僕が喧騒から逃れられる
貴重な空間
君はカウンター越しに
「この曲いいですね」と
話しかけて来た
「ああ」
僕はぶっきらぼうに答えた顔も見ずに…
その日はそれだけ
次に行ったのは
ひと月くらい後だった
同じカウンターで
同じバーボンを頼んだ
カウンター越しに
「お久しぶりですね?」
はぁ?
何か聞き覚えのある声
顔を見てもわからない!
「この前……の曲を」と
言われて
思い出した
エラ・フィッツジェラルドの曲を聞いていた時
声をかけて来た奴だ
えぇ!?と驚く
えくぼの可愛い若い女性だ
僕は思わず
グラスを落としそうになるそんな僕を見て
君は微笑んだ
「恐い人かと思いました」そうだろう!僕も思う
初対面?なのに
話が弾んだ
エラを知っているのも
めずらしいが
曲の趣味が合った!
何度か?店で会ううちに
自然と僕のマンションへ
君は来るようになった
本当に自然に……
僕たちは付き合い始めた!