奈央と出会えたから。<123>

麻呂  2008-04-15投稿
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* * * * * *

聖人と手を繋いで歩いているあたしは、意外にも落ち着いていた―\r



―と言いたい所だけれど―\r



平静を装おうと、無理をしていた―\r



―と言うのが正直な所かもしれない―。


だって、これから初めて聖人の家へ行くんだもん―\r



緊張しない訳がなかった―。






『奈央の手。今日は珍しく暖かいんだな。』



聖人があたしに優しく微笑みかける―\r



『え?!そ、そうかな。』



『‥‥お前。手に汗かいてねぇ?!』



そう言って、あたしの顔を覗き込むから―\r



あたしの緊張が聖人にバレちゃった―。





『ぷっ‥‥‥めっちゃ かわい。』



聖人が呟く様に言った―。



あたしは、まさか聖人にそんなコト言われると思っていなかったから―\r



恥ずかしくなって、思わず顔を背けてしまった―。






『なぁ‥‥奈央ォ‥‥‥‥。』



『えっ?!』



『さっきは‥‥ごめんな。髪のコト、
全然似合わねぇなんて言ってさ。』



聖人は、鼻の頭を指先でポリポリ掻いていた―\r



『い、いやだ!!もう全然気にしてないよ!!』



本当は気にしてるケド‥‥‥。






『俺さ‥‥何て言っていいのか分からねぇけど、お前といると、なんか自分に素直になれるっていうか‥‥‥。』



『うん‥‥‥。』



今日の聖人は、何かいつもと違って見えた―\r



だって、普段の聖人はこんなコト言わないから―\r






『本当は‥‥あんまりめんこくて、正直‥‥まともに顔見れなくて‥‥‥。』



『う‥‥ん。‥うん。』



嬉しい!!



あたし、聖人に髪のコト言われた時、本当は、かなりショックだったから―\r



聖人は、それ以上は何も言わなかった―\r


あたし達は、しばらく無言のまま歩き続けた―。



あたし―\r



今日は久しぶりに、いつもと違う聖人を見た気がした―\r



それは、1-3のクラスメイト達や、ミズホさんにサトル君、


3-5の取り巻きのヒト達の前では決して見せない聖人の顔だったから―。

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