「ウィンストン」の三軒隣の家までが殆ど瓦礫と化しており、家の原形を留めていなかった。
その中から血まみれになった町の人たちが見え、ある者は瓦礫の中から這い出してきて力尽き、ある者は瓦礫の隙間からうめき声を上げていた。
「酷すぎる!誰がこんな事を!!」
セイルは持っている剣の鞘を握り締め、怒りの形相を正門の方角へと向けた。
町の被害状況から、正門の方角から攻撃を受けた事は明白だったからである。
少しして、巨体を揺らしながら、一人の男が、フードを被った人物と一緒に、悠然とセイル達の元に歩いてきた。
「ほお…これは中々の力を持ったソードメーカーさんじゃねぇか…」
男は舌舐めずりをしながら、ゆっくりと大剣を揺らした。
「こんな事をやったのはあんたらか…?」
セイルは男達を睨みながら、怒りを込めた声で尋ねた。
「だとしたら…どうする?」
男は少し首を傾けながら、にやにやと笑った。
「そうか…それなら、こちらも相応の対応をせねばならないな…」
セイルは呼吸を整えると、ゆっくりと剣を鞘から抜いて、静かに身構えた。
「父さん!私たちも!」
ミリスとエミリアはそれぞれ剣を抜いて、セイルへの手助けを申し出た。