「ねぇ、神父様。神様はどうして人間をお造りになったの?」
教会の聖堂、大きなロザリオが吊り下げられたその真下で、彼は唐突に訊ねた。
居ないはずの神父に向かって。
しかし、神父は声を返した。
「サラサエル(堕天使)の申し子。なぜそのような事を問う」
どこからともなく聞こえてきたその声に全く動じる気配もなく、彼は淡々と答えた。
「だって、人間は人間を売り買いするし、平気で殺したり奪ったりするでしょう?それに、自分達が神に造られた存在だって事を忘れてる」
彼はそこで一つため息を吐くと、天を仰いでこう言った。
「ねぇ、悲しくないの?カミサマ―――」