『染める前に。はい。“〇後ティー”。
奈央はミルクティーが好きだって言ってたよな。』
聖人は、あたしに“〇後ティー”のペットボトルをくれた―\r
『あ、ありがとう。ま、聖人のは?!』
『俺?!俺は、これ。“なっ〇ゃん”』
聖人は、“なっ〇ゃん”のオレンジを手にぶらぶらさせて笑った―\r
『あはは。なんか可愛い。』
『わりぃな。うち、母さんいないからさ、男所帯だから部屋も散らかってるだろ?!』
そう言って、聖人はペットボトルに口を付けた―\r
『ううん。そんな事ないよ。男所帯でこれだけ綺麗に片付けられるなんて凄いよ。』
でも、聖人の部屋は汚いけどね(笑)―\r
言えなかったけど―\r
『さぁ〜てと。ぼちぼち始めますか?!奈央ちゃん!!』
『うん。』
あたしは、これから聖人に髪を染めてもらう―\r
聖人は、あたしの首元に手を回し、
優しくケープを巻いてくれた―\r
ドキッとした―\r
『お客様。どうぞ。』
美容室の店員さんの真似のつもりか―\r
聖人は、あたしの制服のスカートの上に、
大きめのバスタオルを一枚掛けてくれた―\r
『染料が制服に垂れたらマズイだろ?!』
『うん。ありがと。』
それから―\r
あたしと聖人の二人だけの優しい時間が静かに流れ過ぎた―