「准将の事、どう思う?」
帰路。滝川は隣を歩く荒木に尋ねた。
「太平洋横断ですか?最善でしょう」
荒木は即座に答えた。
「西周りも一つの手段ですが、中国、インドには月軍の大部隊が展開している上にいずれも『TheGodOfDay』の直撃を受けた現地部隊は崩壊状態。危険です。ヨーロッパでは友軍が戦いを有利に進めていますが、ジブラルタルの海上戦力が加わればどうなるか・・・」
「違う。そうじゃないのよ」
滝川は長くなりそうな荒木を遮った。
「成る程、准将に疑いをもっておられるのですね?」
「・・・」
「我々は軍人です。准将もまた軍人です。私は国に心を捧げています。准将も形は違えど国に尽くす心は同じはずです」
「・・・」
「心を強くお持ち下さい。貴女は何よりも巡洋艦あおかぜの艦長なのです」
不信と不安で押し潰されそうになっていた心が少し軽くなった気がした。
「何かあっても自分が命に変えてもお助けする所存です」
立ち止まり敬礼してみせた荒木は心強かった。
「荒木‥‥」
見つめ合う二人の距離は自然と短くなり‥‥そこで
隣でアキが顔を真っ赤にさせているのに気が付いた。