カミサマ 〜出逢い〜

BgwP←/  2008-04-17投稿
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 街に深々と雪が降り積もる。
 彼が住んでいる教会も、いつの間にか白一色に染められていた。

 彼はいつものように、天井から吊り下げられた十字架の下に立っていた。

 すぅ…と雪の匂いを嗅いだ。
 彼は雪の匂いが好きだった。

 自分が産まれた時を感じるから。

 キィ…と古びた扉が開く音がして、彼はそのままで訊ねた。

「誰…?キミは誰?黒き姫」

 彼が言った通り、入って来たのは黒髪の少女だった。
 少女は何かに怯える小動物のように身体をふるわせつつ、彼に答えた。

「あ、あたし……アイサです。アイサ・カラカサ……」

「――ねぇアイサ、キミは何故この教会に入ってきたの?」

 彼はまたもやそのままで、黒き姫、アイサに訊ねた。

「えっ、あの……詩(うた)が聴こえて………」


―――神は我らを愛し、愛しきあまりに殺すだろう―――\r


「そう………」

 彼は呟くように言うと、小さく笑った。

―――詩が聴こえた

 彼と同じだった。

「この子もサラサエルの申し子みたいだね。カミサマ」

 小さく小さく、彼は囁いた。
 当然少女に聞こえるはずもなく、アイサは声を返してくれない彼を見つめていた。

「ふふっ――ふふふっ―――」

 彼は笑った。
 楽しそうに、嬉しそうに。

「アイサ・カラカサ!」

 彼は少女を呼ぶと、そこで初めてアイサの方に向いた。

「お帰りなさい。黒き姫―――」





 サラサエルの申し子は、一人ではなくなった。



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