恋しくて…3【完】

タカシ<仮名>  2008-04-17投稿
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陽射しは強いが、水が近いせいか、あまり暑さは感じなかった。

アメンボが、気持ち良さそうに、水の上を走る。
蝶々が、花から花へと舞う。
入口が近づくと、冷や〜んと涼しい風が吹く。


『気持ちいいね!』

『そうだね』

『中は、キラキラしてるよ。行こ!行こ!』

俺の手を引き、せかす。

『よし!行こっか!』
いろんな思いを、俺だけが抱えて、中にはいった。




竹がありクリスマスツリーみたいに、飾ってあり、わりと明るい。

少し進んだとこに、テーブルがあり、色紙とサインペンが置いてある。


『ここで、短冊にお願いを書くんだよ』

『この色紙、使いたい』
バックから、使いかけの色紙を取り出した。

『準備、いいじゃん』

『ちょっと、汚れてるけど…事故の時、握ってて…病院で鶴とか折ったから…その…』





≪嗚呼……!≫

七夕用に、去年買った色紙じゃないか。バレンタイン明けから、付き合ったんで、初イベントを、すんごい楽しみにしてたんだ。




『俺は、男だから青をくださいな♪』

『うん♪アタシは、ピンク♪』

そう言いながら、俺に灰色の紙を渡した。

『青はナイなり!?』

『じゃッ…緑は!?』

『今、お願い書いてるから、邪魔しないで』

『俺も、お願いした〜い』

そう、このキャッチボールは、理香としかできない。

『なんて、書いた!?』

『やだッ! 見ないで』


逃げ回る理香を、捕まえるわけでもなく、茶化していた。

『もう、書いたもん。早く、書いてよ』


仕方なく、灰色の紙に願いを書いた。



いつまでも
 理香と仲良く
いられますように……



理香は、顔が真っ赤になった。

俺は、恥ずかしくないけどね。


『理香は、なんて書いたの!?』

『早く出よ! ねっ!』
俺の手を握り、引っ張る。

『わかったよ!』

二人の短冊を結んだ、竹から離れて行く。

何て書いたか、気になるけど、まっ!イっか…。


  ふわ〜ッ

ピンクの紙が、風に揺れた。



貴士君が
 白馬で迎えに
来ますように……。


 【完】



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