「うう…」
土煙が上がる中、ロイは打ち付けた頭を撫で擦って、起き上がった。
「大丈夫、お母さん!?」「ええ、大丈夫よ…それよりお父さんは!?」
隣では、同じように吹き飛ばされたミリス、エミリア、サリアの三人が、起き上がって、それぞれ痛む箇所を手で押さえていた。
もうもうと上がる土煙が晴れてくると、前方でセイルが膝に手をついた姿勢で立っているのが見えた。
「お父さん!」
サリアをエミリアに任せ、ミリスはセイルの元に駆け出していった。
「お父さん、大丈夫!?」ミリスは膝に手をつきながら立っているセイルの背中を撫で擦りながら、心配そうな表情でセイルを見た。「ああ、大丈夫だ…」
セイルは親指を立てたが、その表情は歪んでいた。
「お父さん…」
「心配するな。攻撃を直接受けたお陰で、こいつらが何者かが分かった」
ダメージを受けた身体を無理矢理起こして、セイルは前方にいる二人を睨みつけた。
「くくく、そうかい。なら尚更、生きて帰す訳にはいかねぇなあ!」
男はそう叫ぶと、巨体を機敏に動かしながら剣を振り上げて、セイルの眼前に迫った。
「ミリス、離れろ!」
セイルはミリスを突き飛ばして、素早く剣を構えた。