「よく来たな多田。ものは、持ってきたな?」男は、不気味なくらいに平静な口調を取り戻していた。 多田は、ああとだけ答えた。 「どこだ?」手には、何一つ持っていない多田を見て言った。 「車のトランクだ」じれったい気持ちを押さえて言った。 「何か企んでも無駄だ。こいつがどうなることぐらいお前も分かってるだろ」京子の頭部には、銃口が突き付けられたままだ。 多田は、男ならやりかねないと肌で感じた。一匹狼の多田。危険な橋をいくつも渡ってきた。そんな彼の臭覚が、それを感じさせた。
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