ぴゅ――
ひゅ――パチパチ〜
騙されちゃいけない。全部口です。
「お二人さんっ!熱いねぇ!!」
「だ…っだからちげぇって言って……っ」
子供に軽ーくあしらわれる馬鹿一匹と、見た目は子供、中身も子供?(変な所だけ大人w)を前にして、妖需は疲労しまくっていた。
……凄く不名誉。
なんで私がディルなんかと。
ていうか、何だそのジェネレーションギャップを感じるからかい方は。
しかも、これを期にフィレーネとジンが超意気投合してるし。
「なっ!妖需っ!」
ジンがこちらを向いて健やかな笑みを浮かべ、あははと楽し気に、憎たらしいほど楽し気に笑え。
「あははは―――!面白いねぇ。ジン!」
「あははははは!!」
ジンはとうとう頭が壊れて、笑いが止まらなくなったらしい。ご愁傷様。
「あははは!ジン!…………死にくされっ☆」
フィレーネとディルの顔が強張った。
「歯肉……っ」
ひぃっという小さな悲鳴と共に、メシアの震えまくった声が耳に届く。
そうか。そんなに怖いか。変換間違えるほどに、私は鬼の形相でした?それは失礼。(棒読み)
そうこうしている間に、船が出港する時間になった。
パ――ともプァ――とも言える、ずいぶん気抜けた音を鳴らしながら、鉄の塊が海の上を結構な速度で進んでいく。
やっぱり変だと思う。鉄の塊は水に浮かないのが自然の節理というものだ。
フィレーネ曰く、『慣れれば普通』で、深海にある、様々な海洋亜人の暮らす国(国と言っていいほどの規模らしい)でも、重宝されている技術だとか。
前にも横にも塗りたくられたような、一様の明るい青が、後ろに向かって動いて行く。
だ が し か し
「き……気持ち…悪いぃ……」
妖需とフィレーネの弱りきった声が、船室に虚しく響く。
混血は船酔いが激しい、とか言っても通じそうな位、二人共顔色が悪い。
「あ―…」
ふふ、と笑いながら、フィレーネが空中を指差す。
「蝶々……」
やばい。
やばいやばいやばいって!幻覚見てるよこの人っ