ああ、死んじゃうかも…―顔をひきつらせながら、ロイは死を覚悟した。
しかし、もう後には退けず、ロイはごくりと唾を飲み込んで、男と対峙した。
「ふっ!」
男は素早い動きで後方に飛び移ると、落ちていた剣を拾って上段に構えた。
「死ね、小僧!」
そう叫んでロイに突撃しようとした瞬間、男は何かに後ろから引っ張られて、後ろへと倒れ込んだ。
「な、何しやがる!!」
男は真っ赤な顔をして後ろを振り返ると、そこにはフードを被った人物が、じっとロイの方を見つめながら立っていた。
「おい!俺の邪魔をする気か!?」
男は立ち上がると怒りの表情で、その人物に詰め寄った。
「…」
その人物は男の背中を軽く叩くと、ロイの方を指差した。
「…あの小僧に何かあるっていうのか?」
男は怪訝そうな表情で、じっとロイを見つめた。
「あっ!?」
その瞬間、男は驚いたような声を発して、ロイからその人物へと目を移した。
「…」
その人物は足音を立てずにすっと男の前に出ると、静かに剣を鞘から抜いた。
ロイは男達のやりとりを呆然と見つめていたが、その人物が鞘から剣を抜いた瞬間、恐ろしいまでのプレッシャーが、彼の身体を貫いた。