森谷はそのニュースを見て悲しみと怒りがまざったような複雑な気持ちになった。
「…私と同じような年齢の人がなぜ自殺なんてしてしまうんだろう…。色々な理由はあるかも知れないが、自分の一族が大切に運んできた命を捨ててしまうなんて…」
森谷はテレビの前を行ったり来たりしながら独り言を言う。
「…この世から自分を無くせないものだろうか。テレビでは対策を急いでいると言っていたが、自殺は増えている。つまり、自殺を止める効果的な方法はまだ見つかっていないということか…」
立ち止まり、その「方法」について考えてみた。
…やっぱり思い付かない。だか森谷はある事を思い出した。
「…そういえば、中学の時のクラスメートだった赤山が心理学を勉強するために、研究団体に入ってると聞いたな。明日は仕事も休みだし、会いに行ってみるか。」