―僕の存在は、ただの欠片。ただの破片。ただの幻。 「ユキは…何処だ…?」 アクセルはゆっくりとベッドから立ち上がり、近くにあったドアに手をかける。…早く、ユキを探しに行かなくちゃ…ユキは、寂しがって―… 【どうしてわかるの?】 どこからか、聞いた事の無い声が聞こえた。アクセルは思わず返事を返す。(…だって、ユキは…ずっとあの………あれ…?あの、何だ?)アクセルはドアを開けようとしていた手を止めた。あれは、何だ?―ずっと、聞いていたはずだ…聞いていた…?何を?何をって……何だ…? 記憶が霞がかったようにぼやけている。思い出せない… 「駄目よ!!」その瞬間、アクセルはドアノブから引き剥がされた。引き剥がした犯人は、リク。アクセルはリクに掴まれたまま床に叩き付けられた。アクセルがドアノブを見ながら顔を歪める。「…っ…何すんだよリク…!離せ…!」アクセルは必死にリクの腕から逃れようとするが、リクはそれを怒鳴るようにして制止した。 「駄目って言ってるでしょ!?外にはノータイムがウジャウジャいるの!危険よ!!」 ノータイム、という言葉にアクセルは暴れるのを止め、首をかしげた。「ノータイム?」アクセルの言葉に、リクは眉をピクリと上げた。「…あなた、ノータイムを知らないの?…」 アクセルはわけがわからない。リクはやっとアクセルを離した。「どうりで武器の一つも持ってないわけね…あなた、何処から来たの?」 アクセルは立ち上がり、困ったような顔で小さく口を開く。「リバー・メイ…」アクセルは通じるとばかり思っていた。だが、リクは首をかしげる。「リバー・メイ?何処?」アクセルは目を見開いた。何処って、どういう事だ? 「…ごめんなさい、そんな世界は知らないわ。」リクは自らの口を手で覆いながら言ったが、アクセルは納得行かない。頭が混乱して手と顔が四方八方に動く。「えっ…でも、確かに、俺達は、あそこに…」慌てるアクセルを見て、リクは頭に手を当てながら溜め息を着いた。「はぁ…いいわ。あなたには色々と教えてあげる。」アクセルはあわあわするのを止め、顔はそのままに、リクを見た。