風紀)懐かしいな
風紀は思わず呟く
香雲)やっぱこの“緑”は良いねぇ
香雲は息を大きく吸い込み言った
風紀達の里は見渡す限り木々が生い茂って巨大な森と化して、どれもが樹齢1000年は軽く超えていた
その中に一つ学校が丸々入る位の屋敷があった。風紀らは八雲に案内されその屋敷に入っていく
10分程歩くと異様に大きい襖が現れる。八雲が襖の前で正座して、それに習い風紀と香雲も正座する
八雲)雲ばぁ様八雲です。入ります
そう言って八雲が襖を開けた。部屋には小柄な老婆がいた。この人が雲ばぁ様だろう
風紀と香雲は並んで雲ばぁの前に座った
香雲)ただいま戻りました
風紀)勝手に里を離れ申し訳ございません
2人は座礼をして言った。あの風紀が敬語を使っている……それ程凄い人なんだろう
雲ばぁ)話は後で聞く。それよりその子の状態が思わしく無さそうじゃが…
雲ばぁはナラビの事を気に掛けたので先程の出来事を話した
雲ばぁ)そうか……少し待っとれ……
風紀)ナラビを元に戻せるのか!?
雲ばぁ)あぁ
雲ばぁはそう言い部屋を後にした
〜5分後〜
戻って来た雲ばぁの手には箱があった。それを開けると2人は驚いた。無理も無い、雲ばぁが取り出したのはなんと月の葉書だったのだ!!
驚く2人をよそに掌をナラビの額に当てて呪文を雲ばぁが言うと
ナラビ)………あれ? 僕は……
ナラビの意識が戻った
香雲)ナラビ君!
香雲が嬉しさの余りにナラビを思いっきり抱き締めた
ナラビ)(いっ息が……
ナラビは何が起きたのか分らないようで足をばたつかせる。どこかで見た事あるような……
香雲)もう何年も時が経った気がしたよ
香雲は泣きながらナラビを再度抱き締めた
香雲から解放されるとクシャっと風紀がナラビの頭を撫でて「本当に良かったよ」と言い、目にはうっすらと涙を浮かべていた
ナラビは一体どうしたのと聞いたので、大分はしょって事を説明するが、ナラビはすぐに先程の事を思い出したようだ
ナラビ)ごめんなさい
ナラビは2人に迷惑をかけた事に謝った
風紀)謝る事ないさ
ナラビ)でっ……でも
ナラビが言いかけた時
雲ばぁ)話はそれまでにしなさい
雲ばぁが話を中断させた