「なっ…!?」
その姿を見た長谷部は思わず驚愕の声をあげた。
「さぁて…お仕置きの時間やで…」
長髪に銀髪、赤い瞳に狐の尾と耳を携えた洋介は…もとい狐弦糸はにやりと笑みを浮かべた。
「おまえにも取り憑いていたのか!?」
思わず長谷部は後ずさる。
「はぁ?あんたみたいな半端モンと一緒にすなや。後ろの豚まんとウチが同じに見えるんか?」
(クックック…狐風情がよくしゃべる…)
「おお…獏!」
後ろでぼんやりとしていた獏の姿が次第に鮮明に現れる。
(主よ。このような獣ごときに恐れはいらぬ。さぁ普段通り主のしたいようにすればよい)
「そ…そうだ!私は選ばれたんだ!おまえらなんかと違うんだ!」
長谷部の後ろで獏はニヤリと表情をゆがめる。
「そうさ…私は神に選ばれたんだ!」
長谷部が両手を前に向けると地面から多数のゾンビが現れる。
「薫ちゃん。あんたの千里眼で此葉探しとってや!あと狐文はこの回りに多重結界はっとき!」
「わかりました!」
薫の瞳の白黒が逆に変色していく…。
(多重結界展開したら後ろの方に薫と共に下がります。)
「ああ…そうしたってや。ちいとばかり本気で相手したる」
そういうと狐弦糸は右手に髪を集めて髪で根状の武器を作りだし振り回しながらソンビの集団へと歩みを進める。
「しかし…こいつはえらぃ気色悪いモンを考えるもんやなっと」
狐弦糸は根の端を握り大きく横に振り抜ける。
その一振りで数体のゾンビが吹き飛ばされて行く…がその攻撃でもゾンビは怯まないで進んでくる。
「戦えるのはええけど…こいつらはめんどいなぁ…薫ちゃん!早いとこ探したってや!こういうんは狐響牙の方が向いてんのや」
「す…すいません。頑張って探しますから…」
そういいながら薫は周囲の空間を睨んで行く。
(結界完了です。薫は儂の近くにくるのじゃ!儂は結界維持のため戦闘には参加出来ませぬ。よろしく御頼みします。)
「まぁめんどい言ってる訳にもいかへんな…。」
そういいながら狐弦糸は右手で根を振り回しながら左手で印を切っていく。
「おらぁ!狐火!」
狐弦糸が左指を口の前にかざし息を吹きかけるとまるで火炎放射器のように次々とゾンビ達が燃えて行く。
「おー。なんや洋介の言うとおりよう燃えてんなぁ〜」
狐弦糸はゾンビが燃えていく様を見ていた。