「…どうして剣を？」
ロイは目を丸くして、尋ねた。
「やる気になってくれたんでね…」
グラムは意味深な笑みを浮かべると、数歩後ろへ下がった。
「…」
サイラスと呼ばれたその人物は、ゆっくりと剣を掲げた。
その瞬間、光の波動が周囲に立ち込め、剣の切っ先に球形の光の塊が現れた。
「うわ…」
ロイは目を大きく見開いて、その光の塊を見た。
やばい…―＼r
本能でそう感じたロイは、「ミリス姉ちゃん、エミリア姉ちゃん、叔父さんと叔母さんを連れて出来るだけ遠くへ避難して！」
と、前を向いたまま、叫んだ。
それと同時に、ロイは薄い闇の障壁を、力の限界ギリギリまで使って、前方に張った。
「何言ってんのよ！あんたはどうするのよ！」
ミリスはロイの肩に手を掛け、剣を構えたまま前を向いているロイに詰め寄った。
「大丈夫。僕、運は良いから」
ロイはにこりと笑って、ミリスの方を向いた。
「っ！」
一瞬、ロイの表情の裏側に暗い陰を認めたミリスは、返答に詰まって、肩に掛けていた手を下ろした。
その時、剣の切っ先にあった光の塊が上空に放たれ、そこから無数の光の弾が一斉に町人や建物に襲いかかった。
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