巨闇
光達は闇に向かっていた。だかその光に向かって闇が来ることもある。
闇が来る。
キルバァは二人と三つ四つ歳が違うが完全に打ち解けていた。キルバァは人が良かった。
前から人が来た。細身で全身黒。服か肌かは分からなかったが、いかにも闇を連想させるような格好だった。
黒い人は歩み寄ってくるなり、いきなり話しかけて来た。「もしかして君はあの時の…キルバァ君?生きてたんだね?」
「…そうだよ。マリナのお陰だよ。」キルバァは黒い人を優しい目をして答えた。
「そうか〜。ついあの時は子供だったのにすっかり大人っぽくなって。人間は成長が早いね。」黒い人が言った。その口調はキルバァと被るものがある。
察しのいいリリは今の会話で大体理解した。
この黒い人は人間では無く、キルバァのパートナーを殺した張本人。そしてこの黒い人こそキルバァの再出発の意味ということを。
そしてやっぱりヒカルは分かっていないようだ。黒い人に全く警戒心を出していない。
ゾッ。
能天気なヒカルにも、もちろんリリにもキルバァの殺意を感じることができた。
キルバァはいつもの顔を保っていなかった。いつも優しい顔をしているせいか余計にキルバァの顔が怖く感じた。
黒い人は笑みを浮かべていた。
この二人の表情が憎悪の戦いの合図になった。