奈央と出会えたから。<136>

麻呂  2008-04-23投稿
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『ハハハハハハ。』


あたしが浴室からリビングを通り、聖人の部屋へ行きかけた時、



聖人の部屋から突然、笑い声が聞こえてきた。



聖人は、あたしに気を遣ってか、



ずっと部屋のドアを開けっ放しにしてくれていたから、



笑い声は、部屋中に響き渡った―\r



『聖人。どうしたの?!』



あたしは聖人から借りたスウェット姿だ。



『ハハハ‥。うん、昔のアルバム見てたらよ、なまらウケる写真がいっぱい出てきてさ。』



聖人ってば、目に涙まで浮かべて笑ってる。



さっきは感傷にひたってホロッときてたのに。



立ち直りが早いんだね。



聖人は隠してたつもりみたいだけど、



あたしは知ってるもん。





『面白い写真が見つかったの?』



古いアルバムを一ページずつ捲ってゆく聖人の横に、



思わずあたしも並んで座ったー





『ほら。これは俺の小学校の入学式の写真。』



『へぇ‥。かわい〜っっ。女の子みたいに色白で。あはは。何か、今の聖人からは、想像出来ないね。』



『おい。それ、どういう意味だよ!!

俺は生まれつき心臓に孔があいているのと、喘息持ちで、ずっと休みがちの病弱少年だったんだよな。

顔なんていつも青白くてよ。かなり、おとなしい少年だったな。』





おとなしい少年ー



アルバムの中にはー


今の聖人からは全く想像が出来ないー



幼き日々の、聖人がいたー





『赤ちゃんの時の写真は、神戸で撮ったものが多いね。』



『おう。さっき話した車の事故で、母さんが死んでから、直ぐに小樽に来たからな。』





聖人と聖人のお父さんはー



お母さんを車の事故で亡くしてから直ぐにー



小樽に移り住んだのだと言うー



それはー



聖人のお父さんが、聖人のお母さんとの思い出がいっぱい詰まった街‥“神戸”から離れる事でー



少しでも早く、辛いあの日のあの事故の事を、



忘れたかったからなんだってー



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