遺書−私と彼女という現象−

あきは  2008-04-24投稿
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−第四話−
 『A』は、未来の夫に出会って傍に来たのから 間違いだったと言った。
幸福だと思った最初から間違いだったと私に言ったのだ。


 決死の覚悟を内心に秘めて関東に越した『A』は、都内の一病院に就職し、通い妻の様に男の家に通い、家事をし身の回りの世話をした。そんな時、自分の妊娠に気がついという。
『A』は新生児室に勤めていたこともあって、とても喜んだ。勿論、男も喜んでくれると考えていた。何故なら男は教職免許もある塾講師だったから。
「子供が出来たみたいなの。」
『A』が言った言葉に男は予想外の反応をあからさまにみせた。
「俺、子供嫌いなんだよね、おろしてよ。」
素っ気ない言葉が『A』の心に突き刺さった。心だけでなく身体まで傷つけて『A』は、泣きながら堕胎した。
男の「結婚してからにしよう」という言葉を信じて。

堕胎は『A』の心に大きな影を落とした。『A』はふさぎ込み、仕事にも影響を及ぼすことになった。経営不振と自分の心の波が重なり、『A』は関東の最初の職場をリストラ状態で辞めた。
しかし、次は一緒に住もうという男の言葉が『A』の心と身体を何とか支えていた。

 『A』は東京近郊で男と同棲を始めた。結婚しようと言ってくれるのを待ちながら。新しい職場で馬車馬の様に働きながら。そして二人の生活の生活費の殆どを『A』が背負いながら。ただ、ひたすらに待ち続けていたのだ。

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