<1> 社会が動き出そうとするとき、僕はまだ布団の中にていた。カーテンの隙間からは既に朝日が這入ろうと、その長い両手を永遠と伸ばしていた。 意外に熱気を帯びた細い光線は、僕の眠りを邪魔する。眠気と熱気と戦いながら、暫く悶えていたが、次第に不快感を覚え始めた僕は足で大きく布団を蹴り上げた。 寝汗で纏わり付く寝巻を四肢を以って無理やり剥がしに係ろうとした。 すっと放たれた空間から入ってくる風が気持ちいい。全身に爽快感が充満した。
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