空が蒼く、その下で二人は足だけ温泉に浸かる。
『気持ちいいねぇ』
「そうだねぇ」
そんな言葉の中で時間はスローモーションになったかのようにゆっくり二人を包んでいた。
風邪でキョンの髪が揺れて俺の肩に少しかかる。風の匂いとキョンの匂いが混ざり合い、湖が見える景色を身体で感じていた。
ふと右肩がふわりと重くなった。
キョンの頭が俺の肩に乗っている。俺もキョンの肩を引き寄せた後、髪をそっと撫でた。
『ずっとこうしていたいね』
「うん、でも俺はね…」
『ん？』
キョンは頭を肩から少しずらし、視界から湖の風景が消え、俺を下から上目使いで見上げた。
「俺はキョンといつも一緒だと思ってる。」
強がりな言葉。そんなのわかっていた。ホントは寂しい、いないと切なくなる。キョンも口を開いた。
『私もだよ』
二人とも強がりだった。素直じゃない。
「さぁいこう」
『うん！』
手を繋ごうと差し出したがキョンは俺の腕に捕まる。
俺達は車を走らせ、次の目的地へ向かった。
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