「…くっ…」
ロイは唇を噛み締めて頭を振ると、痛む脚を引きずりながら、町人達の側に歩いていった。
倒れている人達の顔は皆苦痛に歪み、中には幼児を抱かえながら息絶えている女性もいた。
「くそっ！」
降り注ぐ雨を全身に受けながら、ロイは拳を握り締めて怒りに震えた。
「う…うぅ…」
その時、側で人のうめき声が聞こえ、ロイは驚いた表情でそちらを見た。
「ルイス！」
その声の主は仰向けに倒れているルイスであった。
「ルイス！おい、大丈夫か！？」
ロイは慌てて駆け寄って、ルイスの肩を揺すった。
「う…い、痛ぇ…」
ルイスは顔を歪めながら、声を震わせた。
「待ってろ！今回復魔法を…」
そう言った途端、ロイは、はっとした表情を浮かべた。
こいつを回復したら、残りの魔力では後一人分の回復魔法しか出来なくなる―＼r
ロイは剣を握り締めながら、目の前で苦しんでいるルイスの姿を見た。
悩むな、目の前の苦しむ人を救うんだ！―＼r
一つ大きく頷くと、ロイは剣の切っ先をルイスの身体に当て、回復魔法を唱えた。
「う…ん、ん…？」
痛みがひいたのか、苦痛に歪んでいた表情が和らいで、ルイスの閉じていた目が大きく見開かれた。
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