辺りをもう一度見回しながら、覚悟を決めると、ロイは剣の切っ先をリリーの身体に当て、回復魔法を唱えた。
「う…ん、あれ…?」
リリーは痛みから解放されると、側にいるロイを見て目を丸くした。
「あれ…、ロイ、どうしてここに?」
「いや、リリーに回復魔法をかけてたから…」
「あ、そ、そうなんだ…って、うわあ、びしょびしょ!」
リリーはうっとうしそうに、濡れて肌に張り付いている服を引っ張った。
「…やだ、まさかロイ、私の濡れた身体をまじまじと見てなかったよね!?」
ロイの視線に気付いて、リリーは顔を真っ赤にして両手で身体を覆った。
「…まじまじと見てられるような状況じゃないよ…」「え…あ…!」
リリーは周りにある町人の死体を見て、赤かった顔が一挙に青くなった。
「そんな…あいつの攻撃に皆やられちゃったの!?」「うん…まだ詳しく生存者がいるか確認はして無いけど、少なくとも君やルイス以外は…恐らく…」
「ルイスは生きてたのね…。まあ、私やルイスは日頃ソードメーカーと修行してるから、ああいったものが何であるか分かってるから、とっさに避けようとするけど、普通の人達はね…」リリーは眉間にしわを寄せながら、ぎゅっと唇を噛んだ。