そんな古賀は、この薄暗い部屋でキャロルの歌声を聴くと、若き日の恵子の姿が脳裏に浮かぶのである。あれから、早くも20年の月日が過ぎていた。 ドアがノックされた。 「あなた、北沢さんから電話よ」妻の有子である。 古賀は、現実の世界に引き戻された。 「ああ、分かった。北沢には、後で俺からかけると伝えてくれ」 「わかりました」有子は、部屋を出て行った。 キャロルの歌声がまだ部屋には、流れていた。
新着小説100作品 恋愛ミステリSFファンタジーホラーエッセイ日記ノンジャンル公募投稿作品アドベンチャー詩・短歌・俳句スポーツコメディ学園物その他管理人用