私と祐司は親を殺したその日から、殆ど会う事はなかった。いや、会わない様にしていた。誰かに私達が繋がっている事を知られてはいけなかったから。それから私達は別々に、都心から離れた町の老人や外人の家を渡り歩いた。殺してから一週間−テレビを見ていて、私の呼吸が一瞬泊まった。『昨夜、〇〇区の倉庫で男性の遺体が見つかりました。その倉庫では暴力団の集まりが裏取引を行い、死体の処分を行っていたと取り調べで分かりました。遺体の男性は都内会社員の藤宮武さん。50歳。身元の確認を…』 これって祐司の父さん…名前まで出てるなら、祐司の存在はすぐに…。居ても立ってもいられず、祐司に電話した。プルルルル……『はい?』『祐司?零。テレビで見たよ。祐司の父さんが…』『あぁ。仲間がヘマしやがって…悪い。心配かけて。』『ううん。でもこれからどうするの?父さんの名前知られたし、祐司の所にも…』『あぁ。今俺の母親が色々聞かれてる。だから一旦俺は実家にいる。もちろん俺がこの店で働いてた事は言えないから大丈夫だ。零の母さんの遺体は上手く片付けられたから。』『うん……』『俺の親父は何者かに殺された事にする。俺はその悲しみに明け暮れる少年を演じる。あと…零もたまにはアパートに帰ったほうがいい。周りは意外と見てるから。金はちゃんと送るから。』『わかった、何か面倒な事になったね…でも私達がヤったんだもんね。』『仕方ない。俺がこうなったのはあいつら…親のせいだ…これは人を殺した俺らへの罰かもな…』『祐司…全部一人で抱え込まないでね?私の事、頼ってもいいからね?あの時私を救ってくれたのは…祐司なんだから…』『零、ありがとう。俺も一日でも早くお前を闇から掬い上げるからな…』『うん。』『じゃ……』電話が切れた。ねぇ?祐司?私達が望んでた未来はやってくるのかな?二人、手を繋ぎながら笑い会う日々は…きっと私達は出会ったらいけない二人だったのかもね。でも愛し合ってしまった。私達が普通に愛し合えないのは、親殺しの犯罪者への罰かな?…祐司?私もあなたを一日でも早くこの闇から掬って上げる。早く二人で笑いあおうね………