「…リリーは、お父さんやお母さんはいないの?」
「どうして?」
「いや…ルイスは両親を心配して飛び出して行ったから…」
「ああ、まあ…私は訳あってここで一人で暮らしてるから」
「一人暮らし?」
ロイは目を丸くした。
「まあ、うちも色々あるのよ。それより、ミリ姉やエミ姉は…?」
「いや、今のところ見つかってないんだ…」
ロイは瓦礫と化した町を見つめながら、悔しそうに首を振った。
「そう…あの二人の事だから、無事でいてくれるわよ。…ただ、今の私たちでは、この状況では捜しようがないわね」
ふっ、と小さくため息をついて、リリーは濡れて顔にまとわりついてくる髪を払った。
「うわあああ!」
突如として、ルイスの悲鳴のような叫び声が町中に響いた。
「何だ!?」
「何かしら!?」
ロイとリリーはその声に驚いて、慌てて駆け出した。「母ちゃん…父ちゃん…」そこでは、ルイスが悲痛なうめき声を上げて、既に息絶えた父と母の側にうずくまっている姿があった。
「…」
側に駆け寄って行った二人は、その様子を見て、声も出なかった。
「畜生!畜生!」
ルイスは地面を拳で力一杯叩きながら、涙を流した。